我が家のカタチ、固定概念なし。天王台の家|千葉


扇型の敷地形状から実現した独特なフォルム。
住宅地の街並みに突如浮遊した、宇宙船のような家。

Photo : Nobuaki Nakagawa & Kana Tanabe 
Text : Kana Tanabe

建物中心には階段があり、家族の関係をゆるりとつなぐ。

トビラで締め切った部屋はひとつもなく、
家も、ご家族もすべてオープンな関係性が形づくられていった。

INTERVIEW

Oさんご家族に聞きました

プライムに依頼したきっかけは?
妻:雹の被害から家を建て直すことを考え始めました。初めは建築家に頼む予定などもなく、ハウスメーカーを何件も回りました。そんな時、職場で仲の良かった方を通じてプライムと出会いました。
どんなことを依頼しましたか?
夫:ほぼお任せでしたが、相談したことといえば扇形の地形のことですね。あとは自分たちのライフスタイルをお話ししました。
家を建てるとき2人ともまだ小学生でしたね。設計に関して何か希望を言いましたか?
息子:希望は言ってないですね。ほぼお任せ状態。
娘:小さかったのであんまり分かってなかったです。
できてみて、どうでしたか?
息子:友達がよく遊びにきてくれるようになったし、お前んちすげぇ!と言われるのは嬉しかったです。

妻:今になって思うのは、家に対して固定概念がなくなったと思います。これはかなりプライムに影響されてますね。例えば、子供部屋は絶対に必要だと思っていたんだけど、広い個室は必要ないですよって。そしてこのお家、全部が筒抜け状態で、けんかも筒抜け。大きくなったら仕切れば大丈夫ですと言われてたんだけど、結局仕切らなかったですね。逆に個室がなくて良かった。
自分たちが意図していなかった部分が、暮らしてみて分かったということでしょうか?
妻:そうですね。お家が違っていたら、いまの我が家のスタイルは無かったのかな、とか考えます。自分たちには予想できなかった発想に驚いたのももちろんだけど、我が家のカタチが自分たちが気づかない間にこの家に作られていったというか。建築家というだけではなく、その人の「生き方」みたいなものが設計に表れるんだなと思って考え深かったですね。
お気に入りの場所はどこですか?
夫:リビングの段差です。この短い階段が最初は違和感だったけど、子供部屋やキッチンと家族が集まるリビングがつながる道のようになっていて結構いいなと。廊下が無いというのもうちの特徴ですね。

10年経ってみてどうですか?
夫:メンテナンスがしやすい。今年、外観の塗装やベランダなどいくつか改修工事を行いました。少しずつ手をかけていくことが暮らしの楽しみでもあるんじゃないかな。

息子:とにかく、部屋に引きこもるということをしなかった。自分の部屋がないから引きこもることができなかったんだけど、今思うと良かったんじゃないかな。

娘:私は前の家の記憶があんまりないんですよね。この家と一緒に育ってる感じです(笑)。
最近、リビング・ダイニングで勉強するのが流行っているけど、それが自然に作られていったんですね。
娘:そうかもしれないです。部屋だと集中できないときもあるので、結局、廊下や食卓でやっていたりします。うちの家が普通だと思っていたら、友達の家に遊びにいったときに色々違っていてびっくりしました。「うちクリエイティブじゃん!」って(笑)。独り部屋があっていいな、って憧れたときもあったけど、なくてもいいかもって思えました。
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